一滴のしずく
大好きな絵本を紹介します。
『水の森』 高田裕子
森は、
一滴のしずくから
生まれる。
1滴のしずくから森が育まれていく様子を、
素晴らしい絵と、美しい言葉で紡がれていて、
息を吸い込みながら、絵の中に吸い込まれていくみたい。
マッサージセラピストとして
身体に触れることについて感じている原点を
言葉と絵で表現してくれたような世界です。
昨日、この本を読んだ後に、
ご予約の方の施術に入った。
(ご本人のご了承を得て、シェアさせていただいております)
その方は、今回で3回目。
初めは、上半身と下半身、右半身と左半身が
バランスが偏っているようだった。
頭に仙人、足に赤ちゃんが住んでいるような。
1ヶ月後、上下、左右のエネルギーが混ざり合って
流れが生まれているように感じた。
自分でも、身体だけではなく、仕事や色々な面で、
エネルギーが混じり合ってきているのを感じていた、と。
自分が実際に体感して、気づきを持ったことで、
眼差しを向けたことで、
動き出したいろいろを感じる、と。
そして、さらに1ヶ月後の昨日の3回目。
施術中は、自由に身体の衝動が起きたら
そのままに動いていいですよ。
私はそれに呼応してその瞬間必要なことを行なっていきます。
とても身体の感覚に繊細な方だったので、
そう声をかけて始まった。
彼にとって、「動いてよい」ということが、
想像以上の心地よさとリラックスを得られたと。
呼吸は深く、
頭から上に行きがちだったエネルギーが、
するすると足元にまで降りてきて、
しっかり大地に足をつけたよう。
私自身も、より自由に、相手の身体が発する求めに応じて動くと、
相手もそのようになるのだと再確認した体験でした。
前置きが長くなりましたが
絵本の紹介からの流れで、伝えたいことはここから^^
一見したバランスが偏っていることが悪いのではない。
エネルギーが下に降りていくのが良いのではない。
とにかく身体をまっすぐに整えるのがよいのではない。
なぜ、森にある木々は、
曲がったりねじれたりしているのだろう。
以前、ボディワークの先生の導きで、
森に入り、自然に眼差しを向けて
気づきを得る時間を過ごしたことがある。
私には、曲がってバランスの崩れているように見える木の
その下で絶妙なバランスで支えている根っこがかんじられた。
もしかしたら、地球のどこかで、
この木と対をなすように
完璧なバランスで生きている木があるのではないか。
それぞれの環境に、絶妙に呼応して
ベストなバランスで生きているように感じたのだ。
今回施術させていただいた方のプロセスや、
この森の木々をかんじると、
ボディワークやマッサージを通して私が行えることは、
何かを整えたり、流れを取り戻すことではなく、
一滴のしずくをぽとりと落としているだけなのではないかと思う。
1滴のしずくが、
身体という森の中に入り込み、
水が流れ
木が育ち
息が吹き込まれ
光が降り注ぎ
育まれていく。
命が育まれていくことの
「心地よさ」に寄り添って身を委ねてもらえるように
私が身体に触れている。
3回目までの施術を通して、
彼のなかの命、森、が生き生きと育まれていくのを感じ、
喜びに溢れたのでした。
3回目の施術終了後、こう言ってくれました。
「私にとって、身体のイノベーションがまさに起こっているようです」と。
絵本の最後のページには、こんな生き生きとした森の姿と
「生きる」の文字が浮かんでいる。
彼の言葉を聞いて、
私は、こんな森の様子を想像したのでした。